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矢崎和彦氏 (Mr. Kazuhiro Yazaki)(株式会社フェリシモ代表取締役社長)× キラン・S・セティ (Kiran S Sethi)

Wakai Chikara 若い力 No.59より 矢崎和彦氏(株式会社フェリシモ代表取締役社長)×キラン・S・セティ Mr.Kazuhiro Yazaki, President of Felissimo, a large scale mail order company based in Kobe'Deliver Happiness and Comfort 'shiawase' is the key to Felissimo's success.'

矢崎和彦氏(株式会社フェリシモ代表取締役社長)×キラン・S・セティ

「しあわせ」をお贈りするのが、フェリシモのすべて

“KOBE”発の新しい生活文化を提案する(株)フェリシモ。

震災支援活動や女性の感性を商品開発に活かすなど、

地域社会に密着した企業経営は、新時代に一石を投げかける。

矢崎和彦社長に、次代の企業のあり方についてお話いただいた。

女性の感性を大切にしたい

キラン 神戸を良くしていくためには、企業が良くならないといけません。今、神戸で話題になっています通信販売で知られる株式会社フェリシモの経営理念についてお聞かせください。

矢崎 フェリシモの経営理念は「しあわせ社会学の確立と実践」です。事業活動を通じてお客様と社会に「しあわせ」をお贈りするのがフェリシモのすべての活動にとっての大切な理念でもあります。私達は通信販売で知られていますが、それはひとつの手段に過ぎないと考えています。

キラン カタログを見させていただくと生活感あふれるさまざまな商品があります。

矢崎 私達の商品を買ってくださるお客様は生活者です。タイヤを作る会社が車や道路を研究するように、私達は、生活と人生を研究しています。人々のライフスタイルや住環境などを研究し、お客様の人生がより素敵になることを応援するのが我々の役割だと思っています。女性社員の割合が他の企業より高いと思いますが、そんな理由からも、生活の主体者である女性の感性を大切にしています。

キラン 女性の感覚というのは、これからの時代は大切だと思います。青年会議所においては、日本の場合、男性のメンバーが占める割合が多いのですが、他国の青年会議所では半数近く女性のところがあります。女性会員を増やしていけば、また違った雰囲気になるかもしれません。では、次に今年、神戸青年会議所では、経営研修の中で、ベンチャーの育成や企業の誘致をどのように推進していくかを課題にしています。神戸に本社を移転されたことについてお聞きしたいと思います。

矢崎 神戸に来るまでは大阪の梅田に本社を置いていました。我々の事業形態は小売業ではありますが、商圏は全国に及びますのでどこに立地していても構わないわけです。神戸には、海があり山があり住環境として素晴らしい。生活や人生を考える場合に、神戸は最適だと思いました。先程も述べましたように生活や人生の中のしあわせを考えるのは、我々の事業のミッションでもありますから、それを実行していくにふさわしい地だと考えたのです。

キラン 神戸は、本当に住環境がいいと思います。私は、世界中どこに行っても神戸以上に

住みたいと感じたところがありません。神戸JCの理事長として、神戸の魅力を他の都市のみなさんにアピールしていただきたいと思っています。

矢崎 神戸の人は、こんなにも豊かな自然に囲まれて暮らすのがあたりまえになっています。神戸には現代の人々が求めるものが多くあります。ここで暮らすことにより得られるものはたくさんあるはずです。自分たちが身を置く環境は実に重要なことだと思い神戸に本社を移転させました。

“KOBE”発の新しい生活文化をKOBE HYOGO 2005夢基金プロジェクト

キラン 近年、神戸青年会議所も、市民団体に資金的支援を行うために、しみん基金・KOBEを立ち上げましたが、阪神・淡路大震災支援活動についてお聞かせください。

矢崎 震災後、何かできることはないかと考えました。しかし、我々は道路やビルをつくることはできません。ひとりひとりが夢を持って生きていくお手伝いなら多少はできるのではと考えました。そこで、小さくても息の長い支援を続けていきたいと「毎月100円義援金」を設置しました。何百万人ものお客様から6年間で4億円の義援金が寄せられました。被災地への思いから、

全国のお客様が動かれたのです。それらの義援金を使って、お客様とともに活用を模索しながら支援活動を続けてきました。

キラン 事業活動を通じて社会にも貢献していこうとするフェリシモの素晴らしいところだと思います。私は貿易業を営んでおりますが、最近は、消費者の傾向が変わってきているように思います。ものを買うだけでなくより付加価値のあるものを求めているのではないでしょうか。

それがフェリシモさんにマッチングしたのではないでしょうか。

矢崎 私達も企業ですから売上げや利益は無視できない要素です。お客様に商品を購入いただくことで成り立っている企業ですが、社会性という視点からも考慮した事業活動も行っていきます。お客様には、商品と社会に参画している気持ちで満足していただけているのだと思います。

キラン 人々が求めているものが、物の豊かさから、心の豊かさに変わってきているのかも知れません。こんな時代ですから、これからは、心の豊かさをどのように創り出していけるかが

ビジネスの大事な部分かもしれません。「KOBE HYOGO 2005」夢基金プロジェクトについてお聞かせください。青年会議所と同じように、応募資格には年齢制限があるそうですが。

矢崎 年齢制限を設けるのがよくないという意見もありました。年齢を重ねた人、経験を重ねた人にしか出せないものもあります。ですが、このプロジェクトは若い人にステージを提供したかったんです。若い人が発想を変えてとりくめるものが何かあるのではないかと思います。何もないところから絵を描いていくのはしあわせではないでしょうか。「“KOBE”発の新しい生活文化をつくろう」をテーマにプロジェクト企画を広く一般募集します。若い人が考えたプロジェクトで神戸が元気になって欲しい。2005年で震災から10年となります。過去の人たちが創った神戸から、これからの神戸を考える機会になれるのではないかと思います。認定を受けたプロジェクトには最高300万円の協力金を交付し、支援していきます。全国から神戸の明るい未来を応援したいとフェリシモに寄せられた義援金で運営します。

キラン おっしゃられるように既成概念に囚われない若い人の方が、独創的なアイデアを思いつきそうですね。事業活動を通じて社会を創造するフェリシモという企業を表現されていると思います。そのプロジェクトと共にフェリシモも企業として発展していくのでしょう。

フェリシモの活動はコンサートで言えば演奏中

キラン 神戸青年会議所では、一つひとつの事業が終了するごとに、事業報告書を作成し、

次の活動に向けて検証を行っています。矢崎さんは、今までのビジネスでの失敗をお話しいただけませんか。

矢崎 失敗はたくさんしています。同じことを何回も(笑)。失敗を分析するより、次をどうするかしか考えていません。その方が生産的だと思います。世の中には、理屈で語れないことがたくさんあると思います。やってみなければ、うまくいくかいかないかわからないことがたくさんあります。そちらに時間を使います。それとコンサートでいえば、私はまだ演奏中。何が失敗だったかわかりません。

キラン 創立45周年を迎える神戸青年会議所の活動も、単年度制という事からコンサートに例えると、毎年一曲ずつ演奏を続けているようなものです。矢崎社長のその精神がフェリシモを表現していると思います。フェリシモの今後は? 通販はひとつの表現だとおっしゃられていますが。

矢崎 人をしあわせにすることです。しあわせはものだけではありません。それが何かはっきりとはわかりませんが、私達も企業ですから、人のしあわせと企業の収益が重なれば良いと思います。

キラン 最後にメンバーをはじめ、我々と同世代の方々にメッセージをいただきたいと思います。

矢崎 若い人には夢を持って欲しい。今の若い人たちは物心ついたころから元気のない話ばかり聞かされているのではないでしょうか。可哀想に思います。夢を見る力は素晴らしいと思います。夢を持ち、現実を理想に近づけていってください。

キラン 今日は、お忙しい中どうもありがとうございました。

キラン・S・セティ (社団法人神戸青年会議所理事長)

矢崎 和彦 氏 (株式会社フェリシモ代表取締役社長)

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