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月刊 神戸っ子 2010年11月号 テイスト&デザインを科学する A Science of Management Art & Design


フレキシブルな発想で、需要を捉える

ジュピターインターナショナル コーポレーション 専務取締役キラン・S・セティ

創立50年を過ぎましたが、その間に事業内容やインドとの関係は変わっできましたか。 キラン ジュピターは50年前、日本の白動車部品をインドへ輸出することから始まりました。その後、時代と環境が変化 しインドの自給白足政策もあり、30年程前に進出したのが鈴木白動車工業(現スズキ株式会社)です。ジュピターは白動車関連部品を製造・販売するメーカー との取次ぎのお手伝いもすることになりました。両者の提携業務がうまく稼動するようになり、弊社の役割は終わりました。80年代後半、日本の内需拡大の時代から衣料品や雑貨の輸入を手がけ、最初は内外価格差が大きなカメラのフイルムを扱いました。日本とアジア諸国の消費者 向けに日用品を主に扱うようになり、ここ数年は飲料水をはじめ、健康関連グッズが多くなってきました。

インドといえぱITというイメージですが実情は? キラン インドで伸びているのは当初我々が手がけた白動車産業をはじめ、インフラや医療関連も伸 びつつあります。IT産業は20年前、バンガロールでIT教育に力を入れた結果、全土に広がりました。今では当たり前の産業になっています。ただ、リーマ ンショック以来、インドも日本を市場として注目し始めています.

著書「驚異の超大国 インドの真実」では目本人に何を伝えたかったのですか キラン インドに親しみを持って欲しいという単純な思いです。インドにはカレー、仏教、カースト制、IT以外にもいろいろなものがあると、特にビジネスマンに伝えたかったということもあります。

ビジネスマンに向けて、インドで成功するためのアドバイスは? キラン インドに限らずですが、その市場に居座り長期ビジョンを持ち、現地人のように事業をする 覚悟を持つことです。インドについて言えば、「石橋をたたいて慎重に」「皆で和を保ちながら」という日本の文化を持ち込んだのでは痛い目に逢うでしょう ね。一匹狼的なやり方や裏事情を理解しないと難しいです。スズキは何度も痛い目に逢いながらも乗り越えて、お互いの利益につながるパートナーシップを作っ てきた例です。

華僑と同じく、インド人も世界に出ていますが違いはありますか。 キラン 私は「印僑」と呼んでいますが、華僑と同じくハングリー精神、ファイティング精神を持っ ています。敢えて違いを言えば、印僑は華僑ほど仲間意識を持たず、一匹狼的なところでしょうか。例えば、世界中色々な所に行っても中華街はあるけど、イン ド街は聞いた事ありませんよね。インド人は皆が「自分がリーダー」と思っていますから、作ってもまとまりません(笑)

インド旅行する人には、どういう所を見て何を感じて欲しいと思いますか。 キラン インドのカオス(混沌)を感じて欲しい。インド人の特徴と魅力はカオスを整理する能力で す。ITソフトもロジックが基本だから解くのがうまい。混沌とした町がうまく成り立っているのもインドでは当たり前なんです。そして混沌の中にデザインや アートが成立しています。そして、タージマハルの神秘性.そんな神秘性と町のカオスの両方を見て感じて欲しいですね。

ジュピターインターナショナルの今後についてお聞かせください。 キラン 我々のような専門商社は商品を売るのが目的ではなく、海外からの商品をリーズナブルに提 供するためのサービスを提供するのが目的です。それに付随して品物が動きます。50年前には白動車部品、その後ゴルフ用品やペットボトルの水、アウトドア や健康グッズ、ワンルームマンションに至るまで様々なサービスを提供しています。市場をよく知っているお客様の声を聞き、それを消化して、世界中のネット ワークに情報綱を張ります。40年前は日本国内に情報の網を張って海外へ輸出していましたが、現在は日本に限らず、韓国、台湾、中国、ベトナム、マレーシ アなどアジア各国からの情報も敏感に察知L、流通業に関わっている状況です。今後も発想をフレキシブルにして、需要のニッチ(市場の隙間)を捉えながら、 素早く動向を切り替えるというジュピターの特徴は変えたくないと思っています。

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キラン・セティ 初著書


「驚異の超大国 インドの真実」
インド人だからわかる!
ビジネスの将来性と日本人の大誤解

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「ビジョナリー・マーケティング 

Think Differentな会社たち」

共著 キラン・S・セティ

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